ちょいと使ってみる


TeXでできることのうち、基本的なところを簡単に説明します。たとえばこんなことができます、くらい。

サンプルファイルから学ぶ

レポート形式

最低限知っておきたいコマンド集

(補)gnuplotもちょっと使ってみる




サンプルファイルから学ぶ

以下のファイルをクリックしてダウンロードしてください。

サンプルファイル

いままでの段階でちゃんとインストールが終了していれば、このファイルをコンパイルできるはずです。
1.コンパイルしてみる。

ファイルはこんな内容。

\documentclass[a4paper,11pt]{jarticle}

\usepackage{amssymb}


\pagestyle{empty}


%%%%%% TEXT START %%%%%%
\begin{document}
\baselineskip 8mm
\begin{center}
\textgt{サンプル}
\end{center}
\begin{eqnarray}
h[m]&=&\int^{a}_{-a}e^{j\omega mT}{\rm d}\omega \nonumber\\
&=&\frac{1}{m\pi}\left(\frac{e^{jamT}-e^{-jamT}}{2j}\right) \nonumber\\
&=&\frac{1}{m\pi}\sin amT
\end{eqnarray}
\vspace{0.5\baselineskip}\\
こんな文字が使いたくなったら¥usepackage
$$\mathbb{A}\times\mathbb{B}$$
\end{document}


「%」で始まる行はコメント行なので無視されます。
TeXではなにか決まったことをしたいときは「\」で始まるコマンドを使います。

\begin{document}
\end{document}

で囲まれた部分が本文になります。それ以前に書かれていることはプリアンブルといって本文には関係ないものの出力のスタイルなどを決めます。

2.\pagestyle{empty}\pagestyle{plain}に変えてみましょう。ページ番号が入ります。

$〜$は囲まれた部分を数式モードという状態にします。文字がイタリックになるほか、数式モードでしか使えないいろいろな記号を使うことができます。
$$〜$$は「数式モードにした上でセンタリングする」コマンドです。

\vspaceは縦方向の空白制御のコマンドです。\vspace{0.5\baselineskip}とは「\baselineskipの0.5倍分だけ以下の文章を下に下げる」という意味です。\baselineskipとは本文の1行目で「8mmにあたる」と定義しているので、結局4mm下に下げるということです。

3.\vspace{-2.5\baselineskip}としてみましょう。



このように文字同士が平気で重なります。命令に忠実なんですね。
「-2.5」などの文字はもっと細かい小数点も反映します。4桁くらいはいったかな。しかし小数点2桁目ですでに人間の目にはわかりません…

余談ですが、この重なりを利用する技がこちら。
$=\backslash$



これを「$=\hspace{-3.5mm}\backslash$」とすると



これでノットイコールが表現できます。\hspaceは横方向の空白制御です。

\begin{eqnarray}については次章で説明することにします。


以上でTeXの雰囲気はつかめたと思います。




レポート形式

\documentclass[a4paper,11pt]{jarticle}

\usepackage{amssymb}
\usepackage{graphicx}
\title{ディアボロの歳差運動とジャイロ効果}
\author{ディアボロ 太郎}
\date{\today}
\pagestyle{plain}


%%%%%% TEXT START %%%%%%
\begin{document}
\baselineskip 8mm
\maketitle
\section{回転のかけ方}
\noindent
ディアボロはまわる百科事典である。\\
ディアボロでなければ平家でない。\\
よって平家は回る百科事典である。

\section{1個の基本技}
右腕の周り、左腕の周りの練習を十分に積んだら、両腕の周りにチャレンジしてみましょう。
\end{document}


このソースをコンパイルしてみましょう。なんとなくよく見る論文形式になっていると思います。
といってもこれはあくまでも一例なので、どのような書式にしたいか決めたら自分でそのほかの方法を探してみるべきでしょう。

最低限知っておきたいコマンド集

以下によく使う操作(コマンドに限らず)をあげ、説明をつけておきます。

詳しい使い方はネット上や本屋のマニュアルを読んでください。

このページの目的は「とりあえず使えるようになる」です。

ソース上の表記 出力結果
%hoge hoge部分以降はソースで改行されるところまで
出力されません
Enterで一行改行 何も起こりません
Enterで2行以上改行 改行して次行をインデントします(空白行は入らない)
\\ 改行してインデントしません
\noindent その次からの段落を、本来はインデントするところを
インデントしません
\newpage その次からの文章を強制的に改ページします。
インデントされます
\vspace{**mm}
\vspace{**\baselineskip}
**だけ下方向に文章をずらす。
ずれるのはこのコマンドの直後の改行以降。
すぐ改行したければ\vpsace{〜〜}\\とする
\hspace{**mm} このコマンド以降を右方向にずらす
{\large hoge} hoge部分の文字が大きくなる。
他にtiny,scriptsize,footnotesize,small,Large,
LARGE,huge,Hugeと出来る
\textgt{hoge} hogeがゴシック体になる
huga\footnote{hoge} hogeの部分が脚注になる。
デフォルトでは数字による脚注番号だが変更も可能
\begin{center}
hoge
\end{center}
hogeをセンタリング
$hoge$ hogeを数式モードにする
$$hoge$$ hogeを数式モードにしてセンタリング

ここにないコマンドでも次章にあるかもしれません。次章にもない場合はネットや本で調べましょう。TeXならほとんどのことは何とかできるはずです。




(補)gnuplotもちょっと使ってみる

私gnuplotについてはド素人なのですが、TeXを使う際に多少は使ったので、覚書程度に使い方を。詳しい使い方はこちらのリンクを参照するとよいでしょう。

1.グラフを書く

gnuplotを立ち上げたら、「gnuplot>」となっているはずなので、「plot sin(x)」と入力する。
「gnuplot graph」というウィンドウにsinxのグラフが表示されるはずです。
いろいろなグラフが書けるので上のリンク参照のこと(人任せ)。


2.グラフをpsファイルに保存

上のように保存したいグラフを表示させた直後に
gnuplot>set terminal postscript
と入力します。

Enterを押すと
gnuplot>set terminal postscript
Options are 'landscape noenhanced monochrome blacktext \
dashed dashlength 1.0 linewidth 1.0 defaultplex \
palfuncparam 2000,0.003 \
butt "Helvetica" 14'
gnuplot>
のように表示されるはずです。この表記は環境によって若干違うかも。

さらに
gnuplot>set terminal postscript
Options are 'landscape noenhanced monochrome blacktext \
dashed dashlength 1.0 linewidth 1.0 defaultplex \
palfuncparam 2000,0.003 \
butt "Helvetica" 14'
gnuplot>set output "hoge.ps
gnuplot>replot


とするとカレントディレクトリ(何もしなければC:\gnuplotか?)にpsファイルとして保存されます。

作業を続行する場合は「set terminal windows」としてもとの環境に戻りましょう。(ウィンドウズの場合)

3.外部ファイルを読み込んで効率化

gnuplot上のコマンドを書き並べた.pltというファイルを読み込むことで作業の効率化が図れます。

次のファイルにhoge2.pltという名前をつけた上でgnuplotのカレントディレクトリ(pwdと入力して出たPC上の場所)においてください。

set size 0.5,0.5
set view 0,0
set contour base
set nosurface
set nokey
set noxtics
set noytics
set lmargin 0
set rmargin 0
set tmargin 0
set bmargin 0
set cntrparam levels incremental -20,2,20
set xrange [-2:8]
set yrange [-4:6]
set isosample 100,100
set grid
set size ratio -1

splot ((x-4.5)**2+y**2)/0.222-180/pi*atan(y/x)


set term table
set output "hoge2.dat"
replot
set output
set term win

plot "hoge2.dat" with lines

set terminal postscript
set output "hoge2.ps"
replot
set term win


このファイルは初期設定をした後、3次元グラフをいろいろな高さで切って、そのx座標とy座標の組をhoge2.datというファイルに保存します。そしてそのデータをグラフにおこしてhoge2.psというファイルに保存する、という一連の操作が含まれています。

このファイルをカレントディレクトリに置いた上で「gnuplot>load "hoge2.plt」とするだけで、カレントディレクトリにhoge2.psが保存されます。

これは一例です。loadコマンドをうまく使えばいろいろな作業の簡便化が図れるはずです。

なお、出来上がったpsファイルのTeXへの貼り付けは次章にまわすことにします。







以上を踏まえれば、簡単できれいなレポートが書けるはずです。あとは書きながらわからないところを調べていけば、すぐにTeXが使いこなせるようになるでしょう。
大口たたいてしまった。次章はFAQみたいな感じで。

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